「ハッピーエンドの選び方」はユーモアたっぷり!
2014年 イスラエル・ドイツ合作 93分 G
イスラエルの老人ホームで暮らすヨヘスケルの趣味は、ちょっと変わった発明。
彼が延命治療に苦しむ友人のために作った“最期を自分で選ぶ装置”が評判を呼び、安楽死を求める依頼者が殺到する。
そんな中、一緒にホームで暮らす妻レバーナに認知症の兆候があらわれる。
そして、彼自身が最愛の妻の死、別れにどう向き合うか苦しむことになる。
前回の記事「陽だまりハウスでマラソンを」と同じく、いわゆる“終活”を題材にしたものであるが、こんなにも笑えるなんて…!
監督曰く、シリアスな話であるがコメディ俳優を起用することにより、自然に出てくるコミカルさをうまく生かしているらしい。
日本人には思いつかないようなユーモアのセンスも光っている。
そもそも、発明が趣味というヨヘスケルの設定が面白い。
冒頭の“神様と話せる電話機”で心を鷲づかみにされた感じだ。
切ない話であるのに最後まで楽しめるのは、こんなコミカルな空気感が漂っているからだ。
両監督は日本映画の大ファンで、当然「おくりびと」にも影響を受けているらしい。
日本人として誇らしいことである。
しかし逆に、日本人にはなかなか思いつかないユーモアや生き方をこの映画から学ばせてもらった気がする。
歳を重ねても、もっと自由に、もっと情熱的に生きてもいいんだ!
「陽だまりハウスでマラソンを」思ってたよりスケールが大きい!
2013年 ドイツ 105分 G
主役ディーター・ハラーフォルデンがいい!
邦題の“陽だまりハウス〜”なんて言葉からアットホームなハートフルなぽかぽかした内容をイメージするが、実はもっと深刻である。
ドイツでも日本と同じような高齢化問題を抱えているようだ。
共感できるところは多いが、正直ゾッとして笑えないと感じた。
主人公のパウルは映画を観ているこっちと同じ気持ち。
そして、ベルリンマラソンに挑戦しようと考えるのである。
実は彼は物語の中で、メルボルンオリンピックで金メダルを獲った、伝説のマラソンランナーだっのだ。
70歳を超えた老人の無謀な挑戦、冷ややかな目で見る者、応援してくれる者、施設の職員、家族…、葛藤やぶつかり合いをしながらベルリンマラソンを目指すのだが…。
この作品の見所は、78歳の史上最高齢でドイツ映画祭最優秀主演男優賞を受賞したドイツの国民的喜劇俳優ディーター・ハラーフォルデンの演技である。本当にいい味を出している。この映画は彼を堪能するための映画だと言っても過言ではない。
頑固で一途で融通がきかないけれど、妻を愛し一生懸命に生きる姿は、滑稽ではあるが胸を熱くさせてくれる。
ある意味、切ない話である。
また現実的にはありえない内容だ。
しかし年齢に関係なく、自分らしく自分にできることを追求することが生きる力なんだと改めて感じた。
いろいろ考えさせられる、思ってたよりスケールの大きい映画だ。
「X−ミッション」今までにないアクション映画!
パトリック・スウェイジ&キアヌ・リーブス主演、キャスリン・ビグロー監督による1991年の名作アクション「ハートブルー」をリメイク。サーフィンやスノーボード、モトクロスなどを用いたエクストリームスポーツが多数登場し、トップアスリートたちの生身のスタントによって迫力のアクションシーンを創出している。
元アスリートの若きFBI捜査官ジョニー・ユタは、エクストリームスポーツのカリスマ、ボーディが率いる超一流アスリート集団への潜入捜査という指令を受ける。ボーディ一味には、そのスキルを駆使した前代未聞の犯罪を実行している疑いがあった。命がけで潜入に成功したユタは、ボーディが犯罪の首謀者なのか、その証拠をつかむために捜査を続けるが、命知らずなアスリートたちと行動を共にするうち、ユタとボーディとの間にも信頼と友情が芽生え始める。(映画.comより)
監督:エリクソン・コア
キャスト:エドガー・ラミレス ルーク・ブレイシー 他
2015年 アメリカ 114分 PG12
CGじゃない、ガチアクション!こんな感覚今までにない!
実は「ハート・ブルー」のリメイクだとは知らずに観た。
潜入捜査なんてよくある話だから、気にせず観ていたら何処かで聞いたことあるような展開…。
それもよくあることだと思っていたら、印象深いあのシーンが‼︎
思わず笑ってしまった⁈
というのも直前に「ホット・ファズ ー俺たちスーパーポリスメンー」を観ていたからだ。
簡単に解説すると、都会のスーパーポリス(サイモン・ペッグ)がド田舎に飛ばされそこで奮闘する物語。
相棒になった地元の警官は大の映画オタク。
「ハート・ブルー観た? バット・ボーイズ観た?」なんて話になり
パロディシーンなんかもある。
R15+でグロいシーンもあるが、かなり気合の入ったコメディ映画。
しかし、絶対に先に観てはいけない(笑)。
もし観たくなっても我慢すること(笑)。
もしエクストリームスポーツを堪能したいという気持ちがあると、物語部分が少々ウザく感じるかもしれない。
そのストーリーも大した話じゃない。
「ハート・ブルー」がよかっただけに、比べるのは酷だ。
「ハート・ブルー」をベースにサーフィンをエクストリームスポーツに入れ替え、今までにないアクション映画を作る…そういうコンセプトなら成功していると言える。
そう、アクションは本当にスゴいんだ!
特に、ウイングスーツで滑空するシーンは圧巻だ!
あれだけのアクションを一本の映画の中に納めるなんて… やはり「ワイルド・スピード」の撮影監督だったからできること。
ただエクストリームスポーツを観たいだけならそういうDVDを観たらいい。
しかしこの映画は違う。ドラマの中で次々とガチスタントがあるからすごいんだ。
CG多用のアトラクションムービーも確かに面白いが、大自然の中での本物のスタントをあんな映像で見せられたら… 。
なかなか無いよこの感覚は!
絶対、アクション大好きスタッフがめちゃくちゃ楽しんで作ったんだろうなと思ってしまう。
俺のような、絶叫マシンフリークで高い所大好きなアクション映画マニア?
も大満足の映画だ!
「ブリッジ・オブ・スパイ」スピルバーグ、ハンクス、コーエン兄弟…っておもしろくないわけない!
スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演、ジョエル&イーサン・コーエン脚本と、いずれもアカデミー賞受賞歴のあるハリウッド最高峰の才能が結集し、1950~60年代の米ソ冷戦下で起こった実話を描いたサスペンスドラマ。
保険の分野で着実にキャリアを積み重ねてきた弁護士ジェームズ・ドノバンは、ソ連のスパイとしてFBIに逮捕されたルドルフ・アベルの弁護を依頼される。
敵国の人間を弁護することに周囲から非難を浴びせられても、弁護士としての職務を果たそうとするドノバンと、祖国への忠義を貫くアベル。2人の間には、次第に互いに対する理解や尊敬の念が芽生えていく。死刑が確実と思われたアベルは、ドノバンの弁護で懲役30年となり、裁判は終わるが、それから5年後、ソ連を偵察飛行中だったアメリカ人パイロットのフランシス・ゲイリー・パワーズが、ソ連に捕らえられる事態が発生。両国はアベルとパワーズの交換を画策し、ドノバンはその交渉役という大役を任じられる。
第88回アカデミー賞では作品賞ほか6部門でノミネートを受け、ソ連スパイのアベルを演じたマーク・ライランスが助演男優賞を受賞した。 (映画.comより)
キャスト:トム・ハンクス マーク・ライランス スコット・シェパード 他
2015年 アメリカ 142分 G
“不屈の男”の物語
スピルバーグにトム・ハンクスというだけで、安心して観ることできる。
この作品もややこしい話なのに、うまくまとめてキッチリ感動させてくれる。
トム・ハンクスは相変わらず魅せてくれるのだが、やはり今回はアベル役のマーク・ライランスが一番だ。
飄々とした静かな芝居なのに、なぜか引き込まれてしまうのだ。
「あなたを見てると、ある人のことを思い出す。子供のころ、父にこの人をしっかり見ておけと言われた…」
“Standing man(不屈の男)”についての話だ。
しかし、ドノバンの方が先に感じている。アベルこそ本当に強い人間だということを、高尚な精神の持ち主だということを。
個人的には一番好きなシーンだ。
アベルの立ち居振る舞いや、その言葉で彼がどんな人間か想像できる。
初めて二人が対面した時、ドノバンは聞く、
「死刑になるかもしれない…、不安を感じないか?」
それに対し、アベルはさらりと、
「役に立つか?」
これだ! この一言がすべてを語っている。
「死は怖くないが、第一希望じゃない。」
このセリフも正直で好きだ。
彼は、国家が…とか、家族が…とか、ましてや自分の死に対しても、大儀も何も超越して達観しているように見える。任務であろうがなかろうが、自分がそう決めたからそれを貫くだけ。
それはドノバンにも通じるものがある。
立場も違うし生き方も違うが、これは同じ “不屈の男” の友情の物語である。
この作品を観て一番感じたこと。それは…
“本物の強さというのは、穏やかなもの” だということ。
自分もいつか、そんな穏やかさを身に着けることができるだろうか…。
「龍三と七人の子分たち」ちょっとブラックなファミリームービー!
「しあわせはどこにある」気楽に笑えるロードムービー!
「人生スイッチ」ブラック!だけどスッキリ!
スペインの名匠ペドロ・アルモドバルがプロデューサーを務めたブラックコメディ。2014年・第67回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、第87回アカデミー賞ではアルゼンチン映画として外国語映画賞にもノミネートされた。
人生において決して押してはならないスイッチを押してしまったがために、絶望的な不運の連鎖に巻き込まれていく男女6人のエピソードを姿を描いた。監督はこれが長編映画3作目となるアルゼンチンの新鋭ダミアン・ジフロン。出演は、アカデミー外国語映画賞受賞作「瞳の奥の秘密」のリカルド・ダリンほか。