えいが少年

気ままに鑑賞 のんきにレビュー きほんネタバレ

「おみおくりの作法」 それでも彼は幸せだったのか?

f:id:nonkini:20151011122833j:image孤独死した人を弔う仕事をする民生係の男が、故人の人生を紐解き、新たな人々との出会いから、生きることとは何かを見つめ直していく姿を描いたイギリス製ヒューマンドラマ。「フル・モンティ」「パルーカヴィル」などのプロデューサーとして知られるウベルト・パゾリーニが監督・脚本を手がけ、「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」「戦火の馬」のエディ・マーサンが主演。人気ドラマ「ダウントン・アビー」のジョアンヌ・フロガットらが共演した。ロンドンに暮らすジョン・メイは、孤独死した人を弔う民生係として働いてきが、人員整理で解雇を言い渡され、自宅の真向かいに住むビリーの弔いが最後の案件になる。これまでも誠実に故人と向き合い、弔いをしてきたジョンだったが、最後の仕事にはいつも以上に熱心になり、故人を知る人を訪ね、葬儀に招く旅を経て、心の中に変化が生じていく。(映画.comより)

2013年 イギリス・イタリア合作 
上映時間 91分
f:id:nonkini:20151011222449j:image
  ジョン・メイ役のエディ・マーサンははまり役である。名だたる名作に出演しているが、印象が薄いためかあまり覚えていない。しかしそれは、彼の演技があまりにもすばらしく、また自然だからである。  
  感情をあまり出さない抑えた演技であるがゆえに、観る者はいろいろ想いをめぐらす。そして、自然に感情移入できるのである。
  彼と同じ様にいろいろ考える。寂しいということはない が、彼自身も孤独である。「今までの人生は何だったのか…、これでよかったのか…。」そして、最後の案件だけは気が済むまでやろうと決心する。いろいろなところへ行き、多くの人と出会う。何かが少しづつ変わる。少し冒険してみたくなる。今までやらなかったことをやってみる。
「淡々と生きてきた。  今までも別に不幸じゃなかった。でも、今は何かすごい幸せな気分だ!」彼の気持ちを代弁してみた。
 
   これで、彼の心は救われるのだ。
   ジョン・メイなら優しく微笑みながら
「これでいいんだよ。」と言うに違いない。
f:id:nonkini:20151011222414j:image
  とても上質な映画です。
  孤独死や葬儀を扱っているのに、ウソっぽい“つくりもの感”は無く、また安易なカタルシスにも走っていません。
  ぜひ、穏やかな気持ちで観てください(^_^)