「君が生きた証」 それは父の眼差し
「ファーゴ」「マグノリア」などで知られる名優ウィリアム・H・メイシーが初監督を務め、死んだ息子が残した楽曲を歌い継ぐ父親と、その歌に魅了されたミュージシャン志望の青年が、音楽を通じて再生し成長していく姿を描いたドラマ。
やり手の広告宣伝マンだったサムは、大学生の息子ジョシュを銃乱射事件で亡くしてしまう。会社を辞め、荒んだ生活を送っていたサムは、別れた妻から音楽好きだったジョシュが残したという歌の歌詞とデモテープを受け取る。その曲を聴き、息子のことを何も知らなかったことに気付いたサムは、ジョシュの遺品でもあるギターを手に、場末のライブバーでステージに飛び入り参加する。そんなサムの演奏を聴き、感銘を受けたロック青年のクエンティンはサムを説得し、親子ほど年の離れた2人はバンドを結成することになる。(映画.comより)
2014年 アメリカ 105分 レイティングG
監督:ウィリアム・H・メイシー
キャスト:ビリー・クラダップ
フォリシティ・ハフマン
セレーナ・ゴメス 他
邦題のイメージから、もっと息子とのやりとりがありもっと悲しみ続けるような内容かと思ったが、青春ドラマの色合いのほうが強い気がした。ストーリー的には結構深刻な事情ではあるのに暗くならなかったのは、すばらしい楽曲のせいだろう。
ジャンルは違うが、映画の中での演奏に思わずノッてしまうのは、「スクールオブロック」を思い出した。また、観終わった後にサントラが聞きたくなったのは、ベン・スティラーの「LIFE!]以来だ。
低予算でありながらも、陳腐なメロドラマに終わらなかったは、ビリー・クラダップ、アントン・イェルチン二人による力も大きかっただろう。実際に歌い演奏している姿に自然に引き込まれてしまった。
失礼ながら、ウィリアム・H・メイシーのことはよく知らなかった。見るからに個性派俳優でいい味出してるが、今回が初監督作品。といっても脚本家でもあり、長年のキャリアから培った人間を見る目は確かなものだと感じた。
私事であるが、 サム(ビリー・クラダップ)とクェンティン(アントン・イェルチン)は自分と息子と全く同世代。サムの目からクェンティンのような若者たちを見て、息子のように思えて、何かしてあげたいようなそんな気持ちで観てしまった。自分にはサムのような辛い出来事は無いけれど…。
静かな実力、アントン・イェルチン!
最近では「アナーキー」「ラスト・リベンジ」などに出演しているが、確かな実力者だ。あのかすれた声がなかなかしぶい!
今後が楽しみな役者である。
原題「RUDDERLSS」(舵のない船)それはサムのこと、若者たちのこと…
人生には時に不条理な事が起こる。自分の力ではどうにもできないことも多い。まさしく「RUDDERLSS」(舵のない船)のような時期があるだろう。それは年齢には関係なくそれぞれの人生のめぐり逢わせのようなものだ。でも必ず舵を取り戻す時が来るはず。心をふるわす瞬間さえ感じとれれば…。そう信じたくなるラストだ。
観終わった次の日から、クェンティンの歌声がずっと頭の中を回っている!
“Stay With You” が一番のお気に入り!
“Beautifu lMess” もいいな! “Over My Shoulder” もいい!