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「ブリッジ・オブ・スパイ」スピルバーグ、ハンクス、コーエン兄弟…っておもしろくないわけない!

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スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演、ジョエル&イーサン・コーエン脚本と、いずれもアカデミー賞受賞歴のあるハリウッド最高峰の才能が結集し、1950~60年代の米ソ冷戦下で起こった実話を描いたサスペンスドラマ。

保険の分野で着実にキャリアを積み重ねてきた弁護士ジェームズ・ドノバンは、ソ連のスパイとしてFBIに逮捕されたルドルフ・アベルの弁護を依頼される。

敵国の人間を弁護することに周囲から非難を浴びせられても、弁護士としての職務を果たそうとするドノバンと、祖国への忠義を貫くアベル。2人の間には、次第に互いに対する理解や尊敬の念が芽生えていく。死刑が確実と思われたアベルは、ドノバンの弁護で懲役30年となり、裁判は終わるが、それから5年後、ソ連を偵察飛行中だったアメリカ人パイロットのフランシス・ゲイリー・パワーズが、ソ連に捕らえられる事態が発生。両国はアベルとパワーズの交換を画策し、ドノバンはその交渉役という大役を任じられる。

第88回アカデミー賞では作品賞ほか6部門でノミネートを受け、ソ連スパイのアベルを演じたマーク・ライランスが助演男優賞を受賞した。 (映画.comより)

 

監督:スティーブン・スピルバーグ

キャスト:トム・ハンクス  マーク・ライランス  スコット・シェパード  他

 2015年 アメリカ 142分 G 

 


ブリッジ・オブ・スパイ - 映画予告編

 

 “不屈の男”の物語

スピルバーグトム・ハンクスというだけで、安心して観ることできる。

この作品もややこしい話なのに、うまくまとめてキッチリ感動させてくれる。

トム・ハンクスは相変わらず魅せてくれるのだが、やはり今回はアベル役のマーク・ライランスが一番だ。

飄々とした静かな芝居なのに、なぜか引き込まれてしまうのだ。

劇中、アベルがドノバン(トム・ハンクス)に向かって言う。

「あなたを見てると、ある人のことを思い出す。子供のころ、父にこの人をしっかり見ておけと言われた…」

“Standing man(不屈の男)”についての話だ。

しかし、ドノバンの方が先に感じている。アベルこそ本当に強い人間だということを、高尚な精神の持ち主だということを。

個人的には一番好きなシーンだ。

 

アベルの立ち居振る舞いや、その言葉で彼がどんな人間か想像できる。

初めて二人が対面した時、ドノバンは聞く、

「死刑になるかもしれない…、不安を感じないか?」

それに対し、アベルはさらりと、

「役に立つか?」

これだ! この一言がすべてを語っている。

「死は怖くないが、第一希望じゃない。」

このセリフも正直で好きだ。

 

彼は、国家が…とか、家族が…とか、ましてや自分の死に対しても、大儀も何も超越して達観しているように見える。任務であろうがなかろうが、自分がそう決めたからそれを貫くだけ。

それはドノバンにも通じるものがある。

立場も違うし生き方も違うが、これは同じ “不屈の男” の友情の物語である。

 

この作品を観て一番感じたこと。それは…

“本物の強さというのは、穏やかなもの” だということ。

自分もいつか、そんな穏やかさを身に着けることができるだろうか…。